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最高裁判所第一小法廷 昭和45年(秩ち)1号 決定 1970年6月11日

申立人

拘束三六号こと

八子ゆみ

拘束三八号こと

土田明子

中央三十九号監置一号こと

氏名不詳者

主文

本件抗告を棄却する。

理由

抗告人八子ゆみ、同土田明子の代理人弁護士下坂浩介、同入江五郎の抗告趣意について。

所論は、違憲をいうが、法廷等の秩序維持に関する法律二条の規定と同条による監置の制裁が、憲法三一条、三四条、三七条、一四条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二八年(秩ち)第一号、同三三年一〇月一五日大法廷決定、刑集一二巻一四号三二九一頁)の趣旨に徴し明らかであつて、論旨は理由がない。

抗告人中央三十九号監置一号こと氏名不詳者について弁護士下坂浩介、同入江五郎の抗告申立について。

記録によれば、本件抗告は、代理人弁護士下坂浩介、同入江五郎の名で、抗告人を「中央三十九号監置一号」と表示して、申し立てられたものであるところ、代理人選任書と題する書面には、氏名欄に「中央三十九号監置一号」と記載され、指印があるのみで、氏名の記載がない。ところで、法廷等の秩序維持に関する規則一九条により特別抗告について準用される同規則一三条二項は、「代理人の選任は、書面で届け出なければならない」と規定しているところ、その選任届には、少なくとも、届出人である選任者がその氏名を記載することを要するものと解すべきであるから、氏名を記載することができない合理的な理由もないのにかかわらず、その記載を欠く本件選任書によつては、適法有効な代理人の選任がなされたものとは認められず、かかる代理人名義の本件抗告申立は不適法である。

よつて、法廷等の秩序維持に関する規則一九条、一八条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。(入江俊郎 長部謹吾 松田二郎 岩田誠 大隅健一郎)

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